ChatGPTは広報に活用できる?広報業務に役立つ10のアイデア

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近年急速に広がっている「生成AI ChatGPT」は、広報活動においても非常に実用的なツールです。

ChatGPTを利用することで、プレスリリースの校閲を依頼したり、SNS向けの投稿提案を得たりすることができます。
しかしながら、その利便性とは裏腹に、確認不足による誤情報の発信や機密情報の漏洩といったリスクにも慎重に対処する必要があります。

そこで今回は、ChatGPTを広報に活用するメリットや、具体的な使い方のアイデアなどをまとめました。

ChatGPTとは

ChatGPTは、OpenAIが開発した大規模言語モデル(LLM)の一種です。
テキストの生成、言語の翻訳、さまざまな種類のクリエイティブ コンテンツの作成など、さまざまなタスクに使用できます。
テキストとコードの膨大なデータセットでトレーニングされており、まるで人間のような自然なテキストを生成したり、さまざまな言語を翻訳したり、さまざまな種類のクリエイティブ コンテンツを作成したりすることができます。

ChatGPTは、ユーザーと会話しながらユーザーのニーズを理解し、それに応じた回答をすることができます。
例えば、ユーザーが質問をすると、ChatGPTは質問を理解し、適切な回答をします
また、ユーザーが会話の内容を変更すると、ChatGPTは会話の内容を理解し、それに応じた回答をすることが可能です。

関連コラム:ChatGPTって何?特長と社内報制作で活用する4つのメリット

ChatGPTは広報活動に活用できるのか?

ChatGPTは、テキストの生成、翻訳、多様なコンテンツの作成など、さまざまなタスクに活用できます。
広報の分野でも、プレスリリースやコンテンツの作成、メール作成やソーシャルメディアの運用など、さまざまな業務に役立つため「広報業務が効率化されてラクになる」ともいわれいます。

その一方で、ChatGPTはあくまでAIであり、人間の目視や判断力、品質保証が必要である点に注意することが不可欠です。
AIを利用することで業務の合理化が可能ですが、人間の判断が不可欠であることを忘れずに、そのバランスを考慮しながら活用してください。

ChatGPTを広報に活用する4つのメリット

AI(人工知能)の活用が広がる中で、広報分野でもChatGPT(チャットGPT)などの生成AIの活用が注目されています。

ChatGPTを広報業務に活用することで、次のようなメリットがあります。

・コンテンツの作成時間を短縮できる

ChatGPTは、人間が行う文章作成を自動化することができます。

そのため、PR記事やプレスリリース、SNS投稿といった広報文書の作成時間を大幅に短縮することができます。
翻訳したり、要約したりする能力に優れているため、広報担当者が手作業で行っていた取材対応の原稿作成、翻訳業務などを効率化できます。


・コンテンツの質を高められる

ChatGPTは、さまざまなジャンルのテキストを学習しているため、幅広いテーマに対応したコンテンツを作成できます。

また、誤字脱字や表現の誤りなどを修正することもできます。
そのため、広報担当者は、コンテンツの品質を向上させることができます。

・情報収集や分析に活用できる

ChatGPTは、さまざまなWebサイトやSNSから情報を収集し、分析することができます。

例えば、競合他社の情報や業界の最新動向を調査したり、自社製品やサービスの顧客の声を分析したりすることができます。

市場調査や競合分析などのリサーチを効率的に行うことができ、広報担当者はより効果的な広報活動を展開することができます。

・ターゲットに合わせた情報発信ができる

ChatGPTは、ユーザーからの質問や要望に即座に応答し、個別化された情報を提供できるため、ターゲット層へのリーチ効果を高めることができます。

例えば、Webサイトのチャット機能にChatGPTを導入することで、訪問者の質問に24時間対応し、個々のニーズに合わせた情報を即座に提供することができます。

訪問者はいつでも、どこからでも、自分の疑問を解決することができ、自社への満足度が高まります。

このように、ChatGPTは、ターゲット層との接点を増やし、関係を強化するために有効なツールと言えるでしょう。

ChatGPTを広報業務に活かす方法10選

ChatGPTを広報業務に活用する具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。

1:文章の校閲やブラッシュアップ

ChatGPTは、文章の誤字脱字や文法的な間違いを検出することができます。
「以下の文章を校閲してください」という指示とともにチェックしたい文章を送ると、誤字脱字を修正した文章が瞬時に確認できます。
また、「文章の改善」の指示を送ることで、さらによいコンテンツへと仕上げていくことも可能です。
例えば「あなたはベテラン新聞記者です」と設定を与えたうえで「プレスリリースをレビューし、改善点を挙げてください」と指示すると、新聞記者の視点での改善案が獲得できます。

2:課題のピックアップ

ChatGPTは、膨大な量のテキストデータを学習しているため、さまざまなデータから課題をピックアップすることができます。
例えば「日本の製造業における課題を教えてください」と依頼すると、人出不足や技術労働者の不足、デジタル化への適応の遅れといった問題点が提示されます。
業界に関する記述がより具体的となるので、プレスリリースなどで業界について述べる際には、これらの課題とそれに対する解決策にも触れることができます。

3:ネーミングやキャッチコピーのアイデア出し

ネーミングとキャッチコピーを考える際にも、ChatGPTが活躍します。

イメージしている言葉に合ったネーミングやキャッチコピーを依頼することで、複数の候補を挙げてもらうことが可能です。
例えば、「『家族』をイメージさせる言葉を10個挙げてください」「『家族で楽しめるイベント』であることがわかるキャッチコピーを考えてください」といった指示を出すと、多様なパターンの候補が提案されます。

さまざまな言葉の使い方・言い回しを知る機会にもなる、ChatGPTならではの活用方法です。

4:市場調査

ChatGPTは、さまざまなWebサイトやSNSから情報を収集し、分析することができます。

また、特定の分野における市場調査を依頼することもできます。
例えば、化粧品関連の広報業務に市場調査が必要になったとき、「日本の化粧品の市場規模を調査してください」という指示を出すと、具体的な動向を知ることが可能です。
ChatGPTでは、現在は有料版の「GPT-4 Web browsing」機能を利用する必要がありますが、Microsoft BingやGoogle Bardなど無料で検索できるツールもあります。
市場調査と同時に参照元の提示を依頼しておくことで、情報源が明確になり、ファクトチェックにかかる時間も省略できます。

5:ファクトチェック

前述のように、市場調査をはじめ、数字を用いた情報を記載する場合には、ファクトチェックが必要です。

ChatGPTでは、有料版のWeb検索機能を使うことで、情報に誤りがないか、どのサイトを参考にした情報なのかといった事実確認もできます。
ただし、ChatGPTを筆頭にした生成AIによるファクトチェックは、あくまで工程のひとつであり、最終的には広報担当者の目視によるチェックが必要である点も忘れないようにしましょう。

6:ビジネスメールの作成

ChatGPTは、ビジネスメールをはじめとするさまざまなメール文章の作成にも活用できます。
「〇〇に関するビジネスメールを作成してください」と指示すると、適したメール本文を形成してくれます。
この時、より具体的な情報を追加して指示することで、より自然な口調の文章を形成することが可能です。

例えば「あなたは化粧品を開発する企業の広報担当者です。女性誌の雑誌記者に、自社の取材を提案するメールを作成してください」というように、生成AIの立場・役割と、相手の設定を与えることがポイントです。

他にも、プレスリリース配信と合わせて各メディアに送付するメールを作成してもらうことも可能です。
プレスリリースをChatGPTに読み込ませたうえで「このプレスリリースをメディアに送付するメールを作成してください。
メール本文には、リリースを150文字程度に要約した内容も記載してください」といった指示を出すことで、メディア宛てに向けたメール本文を迅速に形成できるでしょう。

7:企画の問題や解決策の提案

ChatGPTは、企画内容の問題点や解決策を提案するツールとして活用できます。
企画内容を記載し、「以下の企画に関する問題点を挙げてください」と指示します。
ChatGPTが考える問題点をピックアップすることで、企画やプロジェクトの見直しや改善に役立ちます。
企画段階では気付かなかった問題を、思わぬ視点から指摘してもらえるため、考慮の漏れを防ぐことにもつながります。
さらに、アイデアが煮詰まったときにChatGPTを活用すると、新しい解決策の糸口になることもあります。

8:SNS用の投稿内容やハッシュタグの作成

広報業務でTwitterなど公式SNSを運用している場合、ChatGPTを使って投稿用のコンテンツを生成してもらうこともできます。
公式サイトやブログ、SNSへの流入が見込める投稿を考えてもらったり、プレゼントキャンペーンに関するツイート内容を依頼したりできます。
具体的には、プレスリリースの内容を読み込ませたうえで、次のような指示を出すのが有効です。
「このプレスリリースを紹介するツイートを検討します。プレスリリース内からパンチラインをひとつ引用し、ツイートを考えてください」
また、運営しているTwitterアカウントの雰囲気に合わない場合は、過去のツイートを数個添付して依頼すると、よりスムーズに内容を生成できます。

9:社内報や企画書の作成

内容が固まっているのであれば、ChatGPTを用いて社内報や企画書にまとめてもらう活用方法もおすすめです。
企画の背景、目的や目標、プロジェクト内容や予算などを明記し「企画書を作成してください」と指示すると、条件に応じた企画書が生成されます。
また、社内報を作成する際に、どんな内容を記載するべきかわからない場合には、ChatGPTにテンプレートを依頼し、項目を埋めていく方法も有効です。
例えば「社内報で決算報告をする場合に記載すべき項目を提示してください」と指示すれば、社内報作成時の記載漏れ防止にもなります。

10:顧客の声や意見の分析

ChatGPTは、テキストデータを分析して、さまざまなパターンのテキストを生成することができます。
この特性を活用することで、顧客の声や意見を分析し、傾向や課題を把握することができます。
具体的には、以下の方法で顧客の声や意見を分析することができます。
・顧客の声や意見をテキストデータとして集める
・ChatGPTにテキストデータを入力し、さまざまなパターンのテキストを生成させる
・生成されたテキストを分析し、傾向や課題を把握する

この方法によって、顧客の声や意見をより深く理解し、より効果的な広報活動につなげることができます。

ChatGPTを広報業務に活用する際の注意点

ChatGPTは魅力的なツールですが、広報業務で活用する際は注意が必要です。
以下、5つの注意点とリスクをまとめました。

・バイアスと不正確な情報の発信の回避でファクトチェックする

ChatGPTは膨大なテキストデータを学習し、そこから情報を生成します。
しかし、学習データ自体に偏りや不正確な情報が含まれている場合、生成されたテキストにもそれらが反映されてしまいます。

広報PRで使用する情報は正確性が重要なので、生成された内容を綿密にチェックし、ファクトチェックを行う必要があります。
プレスリリースやソーシャルメディアの投稿など、公に出す情報については、必ず人間がファクトチェックを行うようにしましょう。

・個人情報や機密情報の漏えい防止

ChatGPTは、入力されたテキストをそのまま生成するため、個人情報や機密情報が含まれたテキストを入力すると、それらの情報もそのまま生成されてしまいます。

企画書や社内報のように、自社情報が多く盛り込まれているコンテンツを作成する際には、特に注意が必要です。

そのため、入力するテキストには注意し、個人情報や機密情報の漏えいを防止するようにしましょう。

情報漏えいの防止策としては、今後は有料プランとなる法人向けのChatGPT Businnesプランなどによって、安全に情報を取り扱うシステムの拡大が期待されています。

・著作権を侵害する可能性

ChatGPTで生成した画像や動画が、既存の著作物に似ている場合、著作権を侵害する可能性があります。

生成した画像や動画については、著作権侵害の可能性を十分に検討し、問題がないかどうか確認するようにしましょう。

・企業やブランドイメージの一貫性

ChatGPTで生成したコンテンツは、人間が書いたものとは異なる独特の表現や文体になる場合があります。

そのため、生成したコンテンツが自社のブランドイメージと合致しているかどうかを十分に検討し、一貫性を保つようにしましょう。
企業やブランドのイメージに合わない文章をそのまま掲載し、認知拡大や販促効果を狙うのは適切な広報活動とはいえません。

広報担当者としての理念やこだわりを持ったうえで、自社のルールやトンマナに沿って文体を調整したり、情報を追加することが大切です。

・倫理的な問題

ChatGPTは人間と同様の文章を作成できますが、その背後に倫理観はありません。

例えば、差別的表現やヘイトスピーチのような内容を生成する可能性もあります。

また、フェイクニュースの作成にも悪用されうるリスクがあります。使用する際は、倫理的な観点から厳格にチェックし、社会的責任を果たす必要があります。

まとめ

テキストや画像、音楽などを生成できるChatGPTを筆頭とした生成AIは、広報PR活動の新たな可能性を広げるツールとして注目されています。

プレスリリースや社内報などの作成、ソーシャルメディアの運用、イベントの企画・運営など、さまざまなシーンで活用できます。

しかし、ChatGPTを筆頭とした生成AIには誤情報や情報漏えいといったリスクがあることも認識しておく必要があります。

生成結果を鵜呑みにするのではなく、人間がしっかりとファクトチェックを行うことが重要です。

また、個人情報や機密情報の漏えいを防ぐために、入力データや生成結果の取り扱いにも注意が必要です。

ChatGPTを筆頭とした生成AIのリテラシーを高めることで、これらのリスクを軽減し、広報PR業務をより安全に効率化することができます。
特徴や仕組みを理解することで、生成AIが出力したコンテンツの信頼性を判断できるようになり、誤情報や偏見のリスクを軽減できます。

本コラムでも紹介したポイントを押さえて、ChatGPTを筆頭とした生成AIを安全かつ効果的に活用し、業務効率化・スキルアップに役立てていきましょう。

マーケティング部 ディレクター 村上恵美

筆者:マーケティング部 ディレクター 村上恵美

音楽配信サイトのプロモーションチームに配属。ECサイト運営をしながら、主にアーティストのキャッチコピーなどライティング業務にも従事。2021年 「"はたらき"から、笑顔を」という会社のビジョンを熱く語る上司に魅了されスカイアークへ入社。マーケティング本部へ配属し、自社プロダクト「SOLANOWA」のシェア拡大、およびメディア「BlueNote™」の認知拡大に向けたコンテンツ強化を中心に、プロモーション業務全般のディレクションを担当。

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