DEIの視点を製品開発のヒントに⁈パナソニックの社内研修に潜入

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当社のビジョン「はたらきから、笑顔を」に共感いただける企業や人に、実際に働きの中から笑顔を生み出す秘訣や成功事例を取材する『はたらき見聞録』シリーズ。 今回は日本財団パラスポーツセンター(以下パラサポ)と連携したパナソニック株式会社 くらしアプライアンス社(以下、パナソニック)の社内研修へ潜入。研修を企画した大美さんへ新たなDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)のあり方について伺いました。

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撮影場所:パナソニック目黒ビルの会議室にて(写真右)社内研修を企画した大美菜々子さん、(写真左)ライター菊池由佳

―― 今回、社内向けにDEI推進研修をされましたが、CSR(社会貢献)の意味あいでDEIに取組む企業も多い中、会社としては何を重要視していますか?

パナソニックグループは、狭義的なDEIではなく広義的なDEIを大切にしています。
これは、会社としてDEI※(1)を推進することが経営インパクトに良い影響をもたらすと考えているからです。

私たちパナソニック くらしアプライアンス社は、冷蔵庫やドライヤーなどくらしに関わる家電製品やサービスを提供する事業柄、人々のくらしに身近であることで、特にDEIと親和性が高いのですが、DEIがものづくりとつながりがあることを社員にぜひ、気づいてほしいという願いがありました。

また、私の所属するDEI・組織開発部では、組織としてDEIを促進する上でその効果を経営や事業へつなげられるように、マイノリティだけではなく多様な個である従業員一人ひとりを活かす取組を推進しています。

※(1)DEIとは~多様性、公正性、包括性。年齢や性別、セクシャリティ(性的指向)、人種、国籍、民族、宗教、障がいなどの違いにかかわらず、すべての人にとって心地よい居場所があること

―― DEIが経営に好影響をもたらすとは、具体的にどのような効果でしょう?

イメージしやすいように経産省発表の「ダイバーシティー経営の成果」をご覧ください。この図は、社外と社内で、財務的効果と非財務的効果を4方向で表していますが、ここからDEIの取組がどこにインパクトを与えているか読み取れます。

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出典:「平成26年度 ダイバーシティ経営企業100選(経済産業省)」より引用

たとえば、男性の育児休暇をみてみましょう。
マイノリティに着目した視点だと「自分は子供がいない」「私は男性ではない」などの理由から、男性が育休を取得することは一時的に組織から撤退することになります。

一方で、社内の効率性・創造性を高めるために改善していく②プロセスイノベーションでみると、あの人が足りなくなるならそのリソースをどう補うかという視点で、業務効率化を進め一人ひとりが生産性を意識するようになります。

このように、見方を変えると、誰が抜けても大丈夫な強い組織を作ることへとつながります。強い組織だと、育休だけではなく介護や病気など様々な理由で、誰が抜けても組織が成り立ち、より多くの社員にとって休みを取りやすくなる恩恵に繋がるのではないでしょうか。

実は、①プロダクトイノベーションにも効果的です。私たちはくらし事業なので、男性社員も育休を取得して家庭や自分のライフスタイルへ向き合うことが、事業への還元に繋がってくるのだと思います。

―― 社員自ら体験することで既存製品の改善やサービス向上へ繋がるのですか?

「こんな製品があったら、もっとくらしが便利で良くなるのに」というユーザー視点の気付きをものづくり・サービスに還元することで、イノベーションの創出へつながる可能性が生まれます。今回の社内研修も、そういった目的で導入しました。

―― なるほど、DEIが活かせる会社の強みに着目して研修に至ったことがわかりました。では、ここからは研修内容について教えてください。なぜ、今回パラサポとコラボしたのですか?

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2025年2月21日パナソニック目黒ビルのショールームにて開催された社内研修の様子。研修開始で今回のコンセプトを説明する大美さん

1番はパラサポの考え方に、強く共感したからです。
パラサポがプログラム提供をする「あすチャレ!Academy」は、パラアスリートとの楽しいコミュニケーションから「共感力」を高める研修です。障がい当事者である講師とのコミュニケーションを通じて、障がい者や健常者だけに限定せず、誰もがチガイを認める「共生社会」への第一歩を踏み出す機会を創出することを目指すプログラム内容と、パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社(以下、パナソニック)のマイノリティのためだけではなく、マイノリティに限らない従業員、そして会社の成長のためにDEIに取組む方向性に親和性を感じました。


―― では、あすチャレ!を知ったきっかけはなんですか?

毎年新入社員の研修があり、昨年は研修プログラムの1つとしてパラサポが提供する「あすチャレ!」の一つでパラスポーツを取り入れた「あすチャレ!運動会」が開催されました。そこへ私も障がい者活躍推進担当者として参加しました。


―― 実際にパラスポーツを体験してみていかがでしたか?

日常と違う視点や、足が使えない中でゴールを決めるためにチームで補い合う力、また自分自身へのチャレンジ精神が得られ、障がいに関する学びだけではなく、多様な社員が生き生きと働くためのマインドやスキルを身に着ける場でした。もちろん障がい者への深い理解にも繋がりました。一方それで終わらせてはいけないとも感じました。


―― つまり、理解するだけでは足りないということですね。

やっぱり、理解や共感だけではなくアクションにまでつなげてほしいのです。
今までも、女性活躍や男性育休取得、障がい者活躍など様々な切り口で取組んできました。過去の取組によって、現在では社内で活躍の輪が広がってきていますが、さらに加速させるために多くの社員が自分事に捉える必要があります。そこで、すべての従業員に関係のある「自社製品」をテーマにすることで親近感を感じてもっと興味が高まると考えました。

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―― 今回の講師や参加者はどんな方でしたか?

講師の山本恵理さんは現役のパラアスリートです。種目はパラ・パワーリフティングで、先天性の二分脊椎症をお持ちの車いすユーザーでもあります。参加者はパナソニックの技術開発や人事、マーケティング、販売部門など、様々な業務の方が参加してくれました。

―― まさにダイバーシティな顔ぶれですね。研修で特に大切にしたことはありますか?

DEIは決してマイノリティだけの支援ではないことを伝えるために、従業員一人ひとりの個性が最大限に発揮できるようなプログラムを作りました。

今回のあすチャレ!Academyも、元々は障がい者活躍推進の切り口で導入した取組ですが、障がい者のために理解するのではなく多様な視点の一つとして障がい者の視点をヒントに社員が共に考え、会社をより良くするという文脈が強いのです。道徳的なDEIだけではなく、会社の戦略の一つであり重要な経営アジェンダなのだと伝わるように、DEIが製品に生きることを実感してもらえるよう意識しました。商品化を目的とした研修ではないため、参加者には現実にとらわれず自由に「あったらうれしい家電」を考えてもらいました。チームで柔軟に想像力を働かせることで、製品に向き合ううえでDEI視点の持ち方について気付きを促し、我々の事業へ向き合うことへのワクワクを感じてもらいました。

会場は、あえてリビングのような雰囲気のレイアウトにすることで、製品を使用する際の日常生活シーンを想像してもらいながら、実際に家電を手に取ってワークを行ってもらいました。オンラインでもリアルタイムに参加者と講師を繋ぐコミュニケーションができるよう、ハイブリッド形式で行いました。

―― 参加者からユニークなアイデアは出てきましたか?

今回は、その製品を使うユーザーのターゲットとして障がい者のためだけではなく、障がい者も含めたより多くの人が欲しいと思う商品を考えて、参加者から魅力的な製品の提案をしてもらいました。

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「イスに取り付けられる小型マッサージ機」や「米櫃(お米を保管する箱)と水道が一体になった全自動炊飯器」、また「上段を下まで下せる冷蔵庫」など、たくさんのユニークなアイデアが出ました。

―― 私も潜入取材させていただきましたが、ワーク中に「冷蔵庫の棚上段奥でカピカピに乾いたチーズを発見したことありますか?」という山本さんの発言に、あるある!と思わず大きく頷きました。

私も背が低い方なので、その姿が目に浮かびます。

―― 私の親も年を経るごとに背が縮んで、今までできていたことができなくなったと言っていました。

背伸びしても棚上段奥にまで目が届かないユーザーにとって「上段を下まで下せる冷蔵庫」を開発することで不便さが解消され便利に使ってもらえます。つまり、障がい者の視点で得た改善のヒントは、実は障がいの有無に関わらず適用できることがわかりますよね?
さらに、マーケット視点で鑑みると、超高齢化の日本社会においてシニアなど購入層に広がりを持たせることで新たなビジネスチャンスも生まれます。
ニーズの背景は違っても、障がい者の有無に関わらず魅力を感じる製品が作れると、より多くの人に愛される製品に繋がるかもしれないですよね。

――そして、それがやがて経営へ好影響をもたらすのですね。次に印象的だったのが、山本さんの「あなたが、誰かの、選択肢になる」という言葉でした。

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「私はパワーリフティング選手で、むしろ一般の方よりも力持ち。だから困っている人の荷物を持ってあげられる」と仰ってましたね。

―― その環境を作るために、まずは何から取り組むといいですか?

アンコンシャス・バイアス※(2)に気づき、日常で注意することだと思います。

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このアンコンシャス・バイアスがあると、気づかないうちに制限をかけ「選択肢」を奪っている場合があります。「障がいとは選択肢の少なさである」と研修であったように、環境次第で、誰しもに障がいが発生します。DEIを推進するうえで、アンコンシャス・バイアスはバリアになりがちです。これを絶対になくすことはできないのですが、パナソニックでは自分が偏った考え方を持っていることに気付く機会を提供することを大切にしています。

※(2)アンコンシャス・バイアスとは~自分でも気付かないうちに根付いている「偏見」のこと


―― では、DEIを従業員一人ひとりに活かすあり方について教えてください。

DEIの本質は、今あるリソースでパフォーマンスを最大化し、組織の成長へつなげていくことだと思います。その本質を理解してもらえると自ずと、障がい者をはじめマイノリティへの理解もついてくるのだと思います。

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一般的に、DEIはマイノリティへの支援と捉えられることが多く、そこに当てはまらない人たちからは自分においては関係ないと思われがちです。ですが、みんなが自分ごとにならない限り本質的に広がらないと思うのです。マイノリティの支援活動はあくまでDEIの入り口の一つと捉え、マイノリティを「社員個々」の代名詞として認識すること。次の支援ステップは環境を整えつつ、すべての従業員がその恩恵の受益者となっている姿を目指していきたいです。

また外的評価でみると、近年では社外への公表義務として、先ほど説明した「男性育休取得率」が指標のひとつであり、それを達成することが企業のブランドイメージや、採用の向上にもつながります。そして、男性の育休ひとつをあげても、強い組織づくりや具体的な製品開発へと繋がる。会社にとっても意義があり、マイノリティだけではなく皆さんにもメリットがあることを丁寧に伝えていく必要があります。その上で社員が自分事化しやすいような伝え方を意識しています。

――  IRや人的資本の指標で達成目標もある中で、パナソニックはより生活者に寄り添った視点でDEIを捉えているのだと感じました。

私たちはメーカーであり、お客さまへ提供するモノやサービスを作っている会社です。
マイノリティの視点を取り入れることで、製品やサービスの向上へと繋がり、より多くの消費者に便利で豊かな生活を提供することで社会へ貢献できればよいなと思います。

―― DEIが企業パーパス(会社が社会に存在する意義)と繋がっているのですね。

企業理念やビジョン・価値観を従業員に浸透させて組織全体のエンゲージメントを高めるインナーブランディングでみても、事業と組織のDEIの方向性が一致していないとみんなは理解してくれないし、ついてきてくれません。DEIを推進することがゴールではなく、DEIは会社をより良くするひとつのエッセンスだと認識してもらえると本当の意味で浸透していくのだと思います。

―― DEIを浸透させるために、社内プロモーションをしていますか?

今年からDEI+Bグッズを用いた広報戦略をスタートしました。ここまでDEIのお話をさせていただいたのですが、最近は「DEI+B」というメッセージを打ち出しています。BはBelongingです。直訳すると帰属意識という意味ですが、弊社では心理的安全性と解釈しつなげています。DEIを推進していくために、言いたいことを言い合える職場風土も重要であると考えています。

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(写真左)DEI+Bの社内認知拡大を目的に制作した「 DEI+Bストラップ」。

DEI・組織開発室が企画、推進した研修やイベントに参加した社員にオリジナルグッズをお渡ししています。グッズを受け取った社員が、社内で実際に活用することで、歩く広告塔としてDEI+Bを広めていただけたらと用意しました。実は、このデザインの背景部分の制作過程にも物語があるのですよ。

―― 気になります!裏側にあるストーリーを教えてください。

皆さんからお気に入り写真を応募してもらい1点1点つなげてモザイクアートを完成させました。が、これには「様々な多様性をつなげていくと、1つの大きな力になる」というメッセージが込められています。
このように、今までは文字ベースでの発信が多かったのですが、より身近なテーマとして受け取ってもらえるように、オリジナルグッズを通じて自然と目に触れる機会を増やすことから始めています。

―― 自然と従業員の目に触れる仕掛けとは?

たとえば、社長や幹部は自ら率先して、自分のパソコンにLGBTQ(性的少数者)活躍推進のDEIステッカーを貼ってくれ、会議中や研修中に多くの従業員の目に触れ注目を集めました。引き続きDEI+Bグッズによって少しずつ認知が高まり、波及していくとうれしいです。

―― 今後チャレンジしたい取組はありますか?

障がい者をはじめ、多様な視点を持つ方が実際に開発に入り、新製品を生み出せるような仕組が作れたらいいですね。
今回の研修は、事業を考える上でDEIが重要な視点だと気づく場ですが、開発へのフィードバックや、具体的な事業提案へ繋がるものではなかったのでそこまで入り込みたいです。

―― 3年後、5年後、10年後パナソニックにおけるDEIの取組がどうなっているといいと思いますか?

現状DEIは、通常の業務にプラスオンで行うものであり、余裕があるときにできる人が行うものと認識している方もまだいると思いますが、今後は当たり前にDEIを体現している状態になっているのが理想。具体的には、日常の業務の中にDEIの要素が組み込まれているように仕組化ができているとうれしいです。現在のように、DEIの重要性に気づいてもらうためにイベントを開催するのではなくて、たとえば、商品開発のプロセス上に多様なメンバーと意見交換する工程があるなど、基本プロセスとして自然と組込まれていたらいいですね。

―― とても貴重なお話をありがとうございます。ここからは、大美さんの素顔に迫ります。日頃はどんなお仕事をされていますか?それは学校で学んだ事とつながっていますか?

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高校で1年間のカナダ留学をしたことがDEIの道へ進んだきっかけで、大学では主にジェンダーの観点からDEIについて学びました。そしてパナソニックへ入社し、現在はDEI推進と組織開発の業務をしています。DEI推進では3つの役割があります。障がい者活躍促進、LGBTQ+の活躍促進、そして外国籍社員の活躍促進を担当。また、多様な個一人ひとり広い範囲へ呼びかける施策として、アンコンシャス・バイアスに関する理解促進やDEIの認知度を高める広報も担っています。

―― お仕事のやりがいについて教えてください。

企画・提案・実行まで、すべてのフェーズを一貫して任せてもらえるところです。
正解がないからこそ、自分の強みを活かして自分なりの正解を考えながらアプローチができることに魅力を感じています。私の業務は直接製品には関わっているわけではないですが、メーカーに勤める者として、自社の製品が街に溢れていると誇りに感じますし、それがやりがいへと繋がっています。

―― 日々の社内コミュニケーションで、大美さんが大切にしていることはありますか?

笑顔

シンプルですが、とても効果があります。
もちろん笑顔だけでコミュニケーションがうまくいくとは限りません。そこで、本音を言い合い活発な議論ができる関係性はどういう状態なのかと鑑みてみると、笑顔でいることで話しやすい空気感が育まれ、そこで生み出される会話の積み重ねが今の信頼関係を築いています。元を辿ると、きっかけは笑顔であったことが多く、間接的に様々な関係部署とのリレーションに影響しています。

―― 大美さんにとって仕事とは、一言で表すとズバリなんですか? 

パズルのピース

私という人間は、趣味や家族、友だちなどの様々な要素で構成されていますが、なかでも仕事は大きな要素のひとつです。ミッションに向けて頑張る中で得られる成功体験や失敗、そして仕事を通じて出会う人々。
そこから学んだものは、決して仕事の範囲内で完結するものだけではなく、自分の人生を豊かにしてくれて今後の様々な場面で活きるナレッジや教えがたくさんありました。

子どもの頃パズルのピースを探しながら完成させたワクワク感をイメージしていただけませんか?

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近年では、働くことが人生の一部であることを意識して、仕事と生活が一体となり満たされていく生き方を目指す「ワークインライフ」の考え方があります。

まずは、自分がどんな人生をいきたいのか考えながら、次に社内のどこにそれに当てはまるピースが落ちているだろうと考えてみる。週7日あるうちの5日間は働いているわけで、その時間がワクワクしないのは、あまりにももったいない!
自分の中の、日々のワクワクを大切に働いていきたいです。


―― 最近ハマっていることはなんですか?

散歩です。健康のために運動をしたいのですが、ジム通いや、新しいスポーツを始めるとなるとハードルが高くなるので、気分が乗る時にふらっと家の周りを歩くようにしています。「こんなところにこんなお店あったのだ」、「ここから眺める景色はきれいだな」など色々新しい発見をして楽しんでいます。そして気付くと2時間も歩いていた!ということもあります。


―― 働く中で笑顔が生まれた感動体験や、エピソードがあれば教えてください。

私はまだ入社して日が浅いので、実習中のエピソードをお話しします。

新入社員は入社後すぐに販売店へ実習に行きます。販売店の社員として店頭に立ち、お客さまの家へ訪問して工事や製品の設置、修理などを行います。そんな中、あるお客さまのご自宅を訪問した際に私のことを気に入ってくださり、別の日お店まで足を運んでくださいました。実習後は東京で一人暮らしだとお伝えすると、手縫いタオルのプレゼントと共に「頑張れ」という言葉をいただき感動しました。
私の弱みは、商品に対する浅い知識でした。新入社員で会社のこと全然知らないし、周りは販売店のプロですし。でもわからないからこそ、お客さまの視点に経ちやすい。ココがわかりにくいから丁寧に説明してあげたいとか自分の弱み・強みを生かすことで自分なりの価値を提供することができて、お客さまにも満足してもらえました。
そこで、一人ひとりの個性を生かすダイバーシティ経営の重要性を実感。今でも思い出す大切な経験です。

現在お客さまから遠いところで通常業務をしていますが、自分はこうしたお客さまのために仕事をしているのだということを常に忘れないようにしています。


―― 最後に、見ている方へメッセージをお願いします。

DEIって難しいものだと考えていませんか?
私にとってのDEIとは、みなさんが持っている強みや弱みを組織に生かすことです。
女性、外国人、障がい者などの属性だけがDEIではないのです。私が職場に配属されて最初に感じた自分の弱みは新入社員で会社のことを全く知らないということでした。でも、知らないからこそ今までのやり方にとらわれない自由な発想ができました。このような弱みや、強みを生かして生まれた意見や取組があります。

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ここで、女性活躍促進を例に挙げます。女性と言われると属性が目立ち「なぜ女性だけ?」とモヤっとする方も多いと思いますが、私たちが着目しているのは、属性を切り口にすることで見えてくるその中身です。女性だからこその強みがあり、逆に女性だからぶつかりやすい障壁もあります。
その強みを組織へとつなげ、その立場だから気づく会社のひっかかりを取り除いて改善していく。それがDEIだと思っています。強み、弱みは誰にでもあります。あなたらしさを発揮することで自然にDEIを体現できると思いますよ。


―― インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。

(取材日:2025年3月27日 / 取材担当:菊池由佳)

取材にご協力いただいた方

取材に答えていただいたのは、パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 DEI・組織開発室の大美さんです。パナソニックの社内研修へ潜入して、新しいDEIのあり方
について今回の取材にお答えいただきました。

■パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社
家電の開発・製造・リサイクルを中心に事業を展開しています。100年育んできたくらしに寄りそう力で、人と地球の未来に続く、感動の商品とサービスを創造することを目指しています。そして、職場環境の整備と"誰もが輝く"新しい働き方の創造の両輪で、社員一人ひとりのウェルビーイングを実現する「人が生きる経営」を加速させていきます。

パナソニック株式会社 DEIの取組

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社DEI・組織開発室(取材当時) 大美 菜々子さん

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