大企業病の原因は?大企業が陥りやすい症状の特徴や各企業がとる対策事例

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「大企業病」とは、大規模な企業が成長し、規模が大きくなるにつれて発生する組織的な問題を指します。この病気は、企業が官僚主義や過剰な手続き主義に陥り、効率が低下することによって現れます。大企業病が進行すると、企業の競争力が低下し、イノベーションが停滞し、従業員のモチベーションも低下します。大企業病の症状を理解し、適切な対策を講じることは、企業の持続可能な成長にとって重要です。

本記事では、大企業病の症状や原因を明らかにし、具体的な対策事例を紹介します。特に、企業の人事担当者が実践できる対策や戦略を中心に解説し、大企業病の克服に向けたアプローチを提示します。この記事を通じて、企業の持続的な成長と競争力の維持に役立てていただければと思います。

      大企業病の症状と特徴

      大企業病の典型的な症状

      • 官僚主義の蔓延
        官僚主義とは、組織内で過剰な手続きや書類作成が必要となり、意思決定が遅れる現象を指します。大企業においては、部門間の調整や承認プロセスが複雑化し、迅速な対応が難しくなります。たとえば、あるプロジェクトの承認を得るために、多数の上司や部門の承認が必要となり、結果としてプロジェクトの開始が数週間から数ヶ月遅れることがあります。
      • コミュニケーションの断絶
        大企業では、部門間の情報共有が不足しがちです。上層部と現場のコミュニケーションが乖離し、現場の声が上層部に届かないことが多くなります。この結果、現場のニーズや問題が適切に反映されず、組織全体の効率が低下します。例えば、現場の従業員が新しいアイデアや問題点を報告しても、それが上層部に伝わるまでに時間がかかり、迅速な対応ができないことがあります。
      • イノベーションの停滞
        新しいアイデアの採用が難しく、リスク回避志向が強くなります。大企業では、現状維持を優先する文化が根付きやすく、革新的な取り組みが停滞する傾向があります。例えば、ある部門が新しい技術を導入したいと提案しても、上層部の承認を得るまでに長い時間がかかり、競合他社に先を越されることがあります。
      • 従業員のモチベーション低下
        大企業病が進行すると、従業員は仕事に対する情熱を失い、無気力感が広がります。これは、組織の目標と個人のキャリア目標が一致しなくなることが原因です。例えば、従業員が自分の意見やアイデアが組織に反映されないと感じると、仕事への意欲が低下し、生産性も落ちることがあります。

      その他の症状

      • 責任回避
        組織が大きくなると、責任の所在が曖昧になりがちです。これにより、問題解決が遅れることが多くなります。例えば、あるプロジェクトで問題が発生しても、誰が責任を持つべきかが不明確で、対応が遅れることがあります。
      • 顧客志向の欠如
        顧客ニーズへの対応が遅れることで、競争力が低下します。大企業では、顧客よりも内部のプロセスや手続きを優先する傾向があります。例えば、顧客からのフィードバックを基に製品の改善を行うプロセスが遅れ、競合他社に市場シェアを奪われることがあります。
      • 過剰な保守志向
        新しい挑戦を避ける傾向が強まり、現状維持が優先されます。これにより、市場の変化に適応できず、競争力が低下します。例えば、新しい市場に進出するためのプロジェクトが内部の抵抗に遭い、実行されないことがあります。

      大企業病の原因

      内部的要因

      • 組織の複雑化
        組織階層の増加と役職の増加が原因で、意思決定のスピードが低下します。複雑な組織構造は、迅速な対応を阻害し、官僚主義を助長します。例えば、部門ごとに独自の手続きやルールが存在し、全社的な意思決定が遅れることがあります。
      • 過度な安定志向
        現状維持を優先する文化が根付くと、新しい取り組みが敬遠されます。これにより、イノベーションが停滞し、組織全体のダイナミズムが失われます。例えば、長期間同じ方法で業務を行っているため、新しい技術やプロセスの導入が遅れることがあります。
      • 評価制度の問題
        業績評価基準が不明確であったり、不公平な評価が行われたりすると、従業員のモチベーションが低下します。公平で透明な評価制度が必要です。例えば、努力や成果が適切に評価されないと感じる従業員が増えると、組織全体の士気が低下します。

      外部的要因

      • 市場の変化
        技術革新や競合の台頭により、市場環境が急速に変化する中で、柔軟に対応できない企業は大企業病に陥りやすくなります。例えば、デジタル化の進展に対応できない企業は、競争力を失うリスクがあります。
      • 規制の増加
        業界規制が強化されることで、企業の柔軟な対応が制約され、官僚主義が助長されることがあります。例えば、新しい規制に適応するための手続きや報告義務が増えることで、企業の業務が複雑化し、効率が低下します。

      その他の要因

      • 企業規模の拡大
        大企業ならではの管理の複雑化が進行することで、効率性が低下します。例えば、国際展開している企業では、各国の法規制や文化に対応するための管理が複雑化し、意思決定が遅れることがあります。
      • 歴史的背景
        長い歴史を持つ企業ほど、古い慣習が残存しやすく、変革に対する抵抗が強くなります。例えば、創業時からの伝統的な価値観や業務プロセスが、現代の市場環境に適応するのを妨げることがあります。

      大企業病の具体的な対策事例

      事例1: トヨタ自動車

      背景
      トヨタ自動車は、一時期、官僚主義やコミュニケーションの断絶が問題となりました。特に、急速な拡大に伴い、現場の声が上層部に届かない状況が発生しました。
      対策
      トヨタは「トヨタ生産方式(TPS)」を徹底することで、この問題に対処しました。TPSは、現場の声を重視し、継続的な改善を推進する手法です。具体的には、「カイゼン活動」を通じて、現場の従業員が自主的に業務改善を提案し、実行する文化を根付かせました。また、現場のリーダーが定期的に上層部に報告を行う「現地現物」の原則を徹底し、現場の状況を的確に把握し、迅速な意思決定を可能にしました。
      成果
      この取り組みにより、業務効率が大幅に向上し、イノベーションが促進されました。また、現場の従業員が主体的に改善活動に取り組むことで、モチベーションも向上しました。トヨタはこの方法を通じて、世界的に競争力のある企業としての地位を確立しました。

      事例2: パナソニック

      背景
      パナソニックは、過去に官僚主義や保守志向が問題となり、新しいビジネスモデルの導入が遅れることが課題でした。
      対策
      パナソニックはフラットな組織構造を導入し、社内ベンチャー制度を推進しました。これにより、従業員が自ら新しいビジネスアイデアを提案し、実行する機会を増やしました。例えば、社内ベンチャー制度では、従業員が独自のプロジェクトを立ち上げ、企業内のリソースを活用して新しい製品やサービスを開発できるようにしました。
      成果
      新規事業の創出が促進され、従業員のモチベーションが向上しました。特に、若手社員の意欲が高まり、組織全体に活気が戻りました。パナソニックはこのアプローチを通じて、イノベーションの促進と企業全体の競争力の強化を実現しました。

      事例3: IBM

      背景
      IBMは、技術革新の波に乗り遅れたことで、大企業病の典型的な症状に直面しました。特に、意思決定の遅延とイノベーションの停滞が問題となりました。
      対策
      IBMはアジャイル開発手法を導入し、迅速な意思決定を実現しました。アジャイル開発は、小規模なチームが短期間で製品を開発し、迅速に市場に投入する手法です。また、リモートワークとフレックスタイムの推奨により、従業員の柔軟な働き方を支援しました。
      成果
      柔軟な働き方が実現し、迅速な意思決定が可能となりました。また、アジャイル開発手法の導入により、イノベーションが促進され、新製品の市場投入が加速しました。IBMはこのアプローチを通じて、技術革新のリーダーシップを取り戻しました。

      その他の事例

      Google
      Googleは、イノベーションを促進するために、従業員が勤務時間の20%を自身のプロジェクトに費やすことを許可する「20%ルール」を導入しました。このルールにより、従業員は自分の興味やアイデアに基づいて新しいプロジェクトを開始し、企業全体のイノベーションを促進しました。また、組織文化の変革を通じて、オープンなコミュニケーションとリスクテイクを奨励しました。

      GE(ゼネラル・エレクトリック)
      GEは、組織の軽量化とフレキシビリティの強化を推進しました。これには、部門の統廃合やフラットな組織構造の導入が含まれます。また、クロスファンクショナルチームを編成し、部門間の協力を促進しました。このアプローチにより、迅速な意思決定とイノベーションが促進されました。

      大企業病の克服に向けた戦略

      組織構造の改革

      • フラット化
        階層構造を簡素化し、意思決定の迅速化を図ります。これにより、官僚主義を排除し、柔軟な対応が可能となります。例えば、従来の階層構造を減らし、従業員が直接上司に意見を述べられる環境を整えることで、迅速な意思決定が可能になります。
      • クロスファンクショナルチームの導入
        部門間の協力を促進し、情報共有を強化します。これにより、コミュニケーションの断絶を解消し、組織全体の効率を向上させます。例えば、マーケティング、開発、製造の各部門が一体となってプロジェクトに取り組むことで、顧客ニーズに迅速に対応できるようになります。

      コミュニケーションの改善

      • 透明性の向上
        情報共有を促進し、従業員が組織の動向を把握できるようにします。これにより、現場の声が上層部に届きやすくなり、迅速な対応が可能となります。例えば、定期的な全社ミーティングやイントラネットを活用した情報発信を行うことで、組織内の透明性を高めます。
      • オープンドアポリシー
        上層部と現場のコミュニケーションを強化し、従業員が自由に意見を述べられる環境を整えます。これにより、現場の問題が早期に解決されます。例えば、経営陣が定期的に現場を訪問し、直接従業員と対話する機会を設けることで、コミュニケーションの断絶を防ぎます。

      イノベーションの促進

      • リスクテイクの奨励
        新しいアイデアへの投資を促進し、従業員が自由に挑戦できる環境を整えます。これにより、イノベーションが促進されます。例えば、新規プロジェクトに対する資金提供や、失敗を恐れず挑戦する文化を育むことで、従業員の創造力を引き出します。
      • インキュベーションプログラム
        社内起業の支援を行い、新しいビジネスモデルの創出を促進します。これにより、企業全体の競争力が強化されます。例えば、社内ベンチャー制度を導入し、従業員が独自のプロジェクトを立ち上げられるよう支援することで、イノベーションを推進します。

      従業員のモチベーション向上

      • 評価制度の見直し
        公平で透明な評価基準を設け、従業員の努力と成果を正当に評価します。これにより、従業員のモチベーションが向上します。例えば、業績評価において、個人の貢献度や創造性を重視することで、従業員の努力を適切に評価します。
      • キャリアパスの多様化
        個人の成長を支援する仕組みを整え、従業員が自分のキャリア目標に向けて努力できる環境を提供します。これにより、従業員のエンゲージメントが向上します。例えば、従業員が自分のキャリアパスを計画し、その目標に向けて必要なスキルや経験を積むための支援を行います。

      終わりに

      大企業病を克服することは、企業の持続可能な成長と競争力の維持にとって不可欠です。企業が直面する課題を理解し、適切な対策を講じることが重要です。これにより、企業は変化する市場環境に適応し、競争力を維持することができます。

      人事担当者は、大企業病の症状や原因を理解し、具体的なアクションプランを策定する役割を担います。未来に向けた継続的な改善と革新の取り組みを推進し、組織全体の健全な成長を支援しましょう。企業の持続可能な成長を実現するために、人事担当者としての役割を果たし、従業員のモチベーションとエンゲージメントを高める施策を実行してください。

      マーケティング部 プロモーションチーム 町田あや

      筆者:
      マーケティング部 プロモーションチーム 町田あや

      新卒でHR業界へ入社し、キャリアアドバイザーとして企業と働く人の橋渡しに奔走。人材不足に悩む企業の採用ブランディングから、人材育成プログラムの構築、新人研修サポートまでさまざまな業務に従事。自身の可能性を広げるためTech系企業への転職活動をしていたところ「"はたらき"から、笑顔を」という経営ビジョンに共感してスカイアークに入社。HR業界で得た知見を活かしたコンテンツ制作などプロモーション業務を担当中。

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